UoPeopleのCSコース(CS 1101/CS 1102/CS 1103/CS 2203)の感想、そしてComputer Scienceを大学で学ぶ意味について

University of the People(以下UoPeople)、2021-2022 Term3において、Computer Science(以下CS)の科目であるCS 1103とCS 2203(とCS以外2科目)を受講しました。そういえばこれまでにCS 1101とCS 1102も受けたのに感想記事を書いていなかったので、これまでに取ったCS4科目のことをまとめて記事にしようと思いました。過去のコースは少し忘れかけているところもあり、また4科目まとめたせいで長くなってしまいましたが、気になるところだけでも読んでいただければ嬉しいです。

免責

現在フルタイム独身大学生をやっているので、仕事や家庭との両立や時間管理などについての話はないです。あと成績も正直そんなに毎回よい成績をとれているわけでもないので、良い成績をとるという目的においてこの記事がどの程度参考になるかはまったくわかりません。

UoPeopleに入るまでの経歴としては、大学生をするのが初めて、またCSを体系的に学ぶのはこれが初めてです。しかし職業Webプログラマをこれまでに何年かやった事があるので、難易度の感想はバイアスが入っており、プログラミングをUoPeopleで初めて学ぶという方には共感できない感想かもしれません。

コースの内容の詳細よりも、私が躓いたことや感想寄りでこの記事を書いています。というのもこの記事を書く自分の目的が「後続の方が詰まらないようにポイントをシェアする」ということだからです。詳しい内容についてはシラバスを見れば確認できるのでそちらをご覧ください。もし何か内容を書きすぎてしまっていたり、あるいは誤った情報を掲載しているなどがありましたらご連絡をいただければと思います。

私がコースで躓いたことを中心に書いているので、ネガティブなイメージを持たれるかもしれませんが、前もって私はこのUoPeopleで学習できることに感謝しているということを書いておきます。

 

 

CS 1101 Programming Fundamentals

Pythonでプログラミングの基礎を学ぶコースです。2021-2022 Term1(Sep. 2021-Nov. 2021)に受講しました。

難易度

職業プログラマをしたことがあり、Pythonを少しかじったことがあった人間の一個人の見解としては、特に大きな問題はなかったという感想でした。テキストを読む量も、CS 1101以降に受講した他のクラスと比べると少なめでした。

しかしこれまでプログラミングをあまり経験したことがないという人は違う印象を持つかもしれません。一度、CS 1101のDiscussion Forum(以下DF)で「UoPeople、インストラクターともクラスメイトとも全然コミュニケーションできないし、ピアレビューもfrustratingだし、全然学習ができておらず大変だ」という率直な投稿をしているクラスメイトを見かけました。「できるだけインストラクターに質問したりUoPeopleのコミュニティに入ったり他の学習リソースも参照してみてね」とアドバイスしてみましたが、果たして役に立つアドバイスだったかどうか…。

UoPeopleのコースは基本そうですが、直接インストラクターからのレクチャーはないので、ただ課題だけが目の前に存在するという状態で、プログラミングが初めての場合は確かに大変かもしれません。学習スタイルとして人と交流するほうが向いていると思われる方は、UoPeopleの学習はとにかく孤独になりがちなので、できるだけスタディグループを見つけたりスタディバディを見つけたり、とにかく話せる人を見つけるとよいのかなと思います。

また、テキストでReadingがOptionalの章があるのですが、Optionalだからといって飛ばさずに読んだほうがより理解が深まると思います。

インストラクター

あまりやり取りしなかったのですがLearning Journal(以下LJ)は基本いつも10点をくれる先生でした。DFではインストラクターがオリジナルのビデオリソースをYouTubeに用意してくれていて、「見てね」って言っていました。

ただ一度DFで低い点をもらったことがあって再レビューをお願いしましたが受け付けてもらえませんでした。トータルグレードとしては満足しているので今は気にしていませんがトータルグレードが自分の目標から見てギリギリラインだったらショックだったかもしれません。

参考資料

プログラミング経験がある方は、基本的にはメインテキスト「Think Python」だけで良さそうでした。足りないと感じる方は必要に応じて他のリソースも参照してみると良いと思います。Pythonは特に学習リソースが多いので、決定版のようなものはないと思いますが、最近は日本の大学でも無料のPython学習テキストが出ているのでそれらを参照するとよいかもしれません。

 

atmarkit.itmedia.co.jp

 

私自身がPythonを学んだときはオライリーの「入門 Python3(第1版)」を借りて読みました(下記リンクは第2版)

 

 

CS 1102 Programming 1

Javaでプログラミングを学ぶコースです。一部CS 1101とかぶる説明もありましたがオブジェクト指向の説明など新しい概念が多く登場します。テキストを読む量がCS 1101と比べて急に増えるのでCS 1101と同じぐらいの学習時間で見積もりをしているとたぶん間に合わなくなります。

2021-2022 Term2(Nov. 2021-Jan. 2022)に受講しました。

難易度

CS 1102については受講前は「正直難易度をナメていた」と思います。シラバスを見てなんとかなると思ったのですが、概念的にまったく新しいものが出てきたというよりは、引っ掛け問題と英語のニュアンスに苦しんだという印象があります。

職業プログラマをしたことがあっても、Javaには慣れ親しんでいなかったせいでGraded Quizでポロポロと点数を落としてしまいました。職業でJavaプログラマをしたことがある方なら余裕かもしれません。Javaコンパイラを脳に埋め込む気持ちで勉強すると高い点が取れると思います。

こんなことを言ったら何なのですが、Graded Quizでは、個人的にはあまり「好きではない」問題がありました。プログラミングのコースなのに英語の細かいニュアンスを聞かれたような…。

海外のDiscordで「CS 1102のGraded Quizには間違いがあり、それを指摘したら点数をもらえた」と言っている人を見かけました。昔の情報なので今はどうなっているかわかりませんが、それをみて藁にもすがる思いで私も「このクイズは正解が2つあるのでは?」と質問したところ、インストラクターに「良い質問なのでDFで公開してクラスメイトにも聞いてみてね」と言われました。そこで質問したら、他のクラスメイトには見向きもされなかったのですが、同じUoPeople日本人コミュニティの @motomachi17 さんが丁寧に回答してくださいました。本当にありがたかったです🙏(@motomachi17 さんにはこのとき他にもメッセージで自分のDFの投稿について意見をいただけたり本当に色々お世話になりました。)

そしてどうやら私の質問は的外れだったということがわかりました。自分の英語の理解力の問題だったようです。しかし個人的には「『いい問題』ではない」という印象は変わらずで、もっと他に良いQuizの問い方があったのでは…という感想はいまだに持っています。

インストラクター

毎回DFの終わりに模範解答を投稿してくれるありがたい先生でした。またLJも基本は10点でしたが、一度Self Quizを低い点のまま放置していたことを理由に9点がつけられました。またグレードアピール系は基本受け付けてもらえませんでした。最終グレードがあと一歩で上のグレードが取れそうだったのにグレードアピールをしても受け付けてもらえなかった…。あと0.44点だった…。ピアレビューで謎採点もあったし、0.44点は妥当なアピールの範囲だと思うのだけど…。なのでとても悔しく苦しい思い出があります。

まあ、Graded Quizで落としてなかったらピアレビューで低い点もらっていてもひとつ上のグレードが取れたので、自分の勉強不足があることは間違いないです。

ただ私はこれまで全然グレードアピール通ったことがないので、そもそもアピールの仕方がだめなのか的はずれなのかもしれません。上手なグレードアピールの方法などアドバイスがある方がいらっしゃったら教わりたいです。経験によりうまくなるのでしょうかね…?もっと上手になりたいです。

参考資料

これまでにJavaの経験がある方なら外部資料なしでも大丈夫そうという印象がありますが、Javaに慣れ親しんでいない方で、メインテキストの言い回しが苦手な方はJavaの他の資料を参照すると良いと思いました。メインテキストの内容から出されるクイズなどもあるため、あくまでサブテキストはサブテキストであり代替にはならないのですが、読んでおくとスムーズかもしれません。

コースのExerciseのサンプルコードは、テキストのバージョンが8系のものはJava 8/11/16で動作確認がされており、テキストのバージョンが7系のものはJava 7で動作確認がされているらしいのでそれに合わせてテキストを選ぶといいと思います。

CS 1101のメインテキスト「Think Python」の形式や言い回しが好きな方は同じ著者のシリーズで「Think Java」という本があります。個人的にはこちらのほうが説明がわかりやすいと思いました。

Think Java – Green Tea Press

また私は細かな違いでのミスが響いたので、こちら以外にもJavaの基礎が丁寧に説明されている日本語の本も読んでおいたほうが良かったかもしれないと思いました。

私がCS 1102のために購入して参照した資料は下記の結木浩さんの昨年改訂されたデザインパターン本です。デザパタの説明が主なのでCS 1102のシラバスとは少し違いますが、Javaオブジェクト指向の考えを学ぶのにはおすすめの本です。

 

 

CS 1103 Programming 2

Javaでさらに応用的なプログラミングの概念を学びました。

2021-2022 Term3(Jan. 2022-Mar. 2022)に受講しました。同時期にCS 1103受けている方々のツイートやSlackのメッセージなどたくさん参考にさせていただきました。ありがとうございます。

難易度

このあたりから職業プログラマをしたことがあってもProgramming Assignment(以下PA)が一筋縄ではいかなくなってくると感じます。CS 1102よりもさらに時間が取られます。

私がこれまでWebエンジニアを行ってきた中では、一部の概念(MVCや一部の基礎的なアルゴリズム)には馴染みがあったものの、一方で自分がこれまで使ってきた言語ではあまり馴染みがなかった概念(ジェネリックプログラミングなど)も問われました。

以前からアルゴリズム、データ構造、ジェネリックプログラミング、ADT、I/O Stream、ネットワークプログラミング、Backus–Naur form、チューリングマシンJavaGUIプログラミングなど、CS 1103で扱われる範囲の内容を深く知っている人ならそこまで詰まらず進められるかもしれません。

UoPeopleあるあるなのですが、「Reading対象の章ではない部分の知識がそのUnitで急に問われる」ことがちょこちょこあります。(たとえばその週にChapter2を読んでいるのにChapter3の知識が問われるなど)。でもよくよくテキストの他の章を見ると説明が載っていることがありますので、わからない!となっても落ち着いて探してみると良さそうです。(ちゃんとこのへん整理してほしい)

CS 1103に入ると、メインテキストとしてEckのVer.7系(2014~2018)とVer.8系(2019~)の両方を使いました(CS 1102ではVer.8系のみでしたが)。Ver.8系は指示ではVer8.1(2019)を使うようにと言われますが、私は最新のVer.8.1.3(2021)を使っており特に問題ありませんでした。しかし、Ver.7系は指定通りのものを参照しました。マイナーバージョン違いは無視してもそこまで影響なさそうですが、メジャーバージョンはさすがに合わせました。ただ細かい違いが気になるという方はマイナーバージョンも合わせておいたほうが良いと思います。

また、jarファイルを添付しろという課題があるのですが、テキストで動作確認されているバージョンではないと受け入れてくれないことがあるようで(インストラクション内には書かれて無かったのですが)、私は違うバージョン(Java17)でコンパイルしたjarファイルを受け入れてもらえませんでしたのでそこはご注意ください。

Graded Quizは易しいのですがFinalでは見たことがない問題が問われますので、そこで面食らわないようにテキストの復習などきちんと準備しておくと良さそうです。

このころからさすがに、「自分ももっと人と情報共有しないと全然いい課題を提出できないな」と思うようになり(遅いかもしれませんが)、それまでは受け身で人からの連絡を待っていたのですが、自分からも積極的にDFで素晴らしい投稿をしているクラスメイトに連絡を取るようになりました。全員から好意的な返事が返ってくるわけではないですが、中には勉強法を教えてくれたりスタディグループに混ぜてくれる人もいたりして、やはりせっかく大学なのだから、もっと自分が目標とするような投稿をしているクラスメイトと関わっていこうと思うようになりました。

インストラクター

わりと辛辣めで、クラスメイトが他の人の返信に対して「Great job」の一言で終わらせていると「Thank you for breaking the rule of this forum」のようなViolent Communicationをしてくるのでちょっと怖かったです。

LJも厳しめ採点でした。これまでのLJでは満点をもらえたであろうLJの書き方でも8点ぐらいになることがありました。たとえばLJのよくあるフォーマットとして「今週何を学んだか」を書けというインストラクションがあり、その後に「例えばこんなことを含めてください」という指示がありますが、For exampleとして挙げられている話を全部入れないと減点、といったことがありました。また、これまでのCSコースではLJでは外部引用なしでも許されてきましたが、今回は引用がないと点数から引かれましたし、少し引用方法を間違えただけで減点がありました。

一度、受講中に私の身内に不幸がありどうしてもLJを期限内に提出できないことになったのですが、ダメ元でインストラクターに締め切り延長を依頼したら延ばしていただけて、最終的にその時のLJは良い点でした。しかしFinal直前は雑に扱われたので、時と場合によってはsupportiveになってくれるけど忙しいと相手にしてくれなくなる先生という印象でした…。

参考資料

CS 1103あたりからはメインテキストだけではなく外部リソースも積極的に参照していったほうがよさそうです。メインテキストでサラッと触れられている概念をディスカッションする時に、あんまり良くわかってないとうまく言葉に出来ないなという気持ちになり、都度外部資料で補強していました。

主にOracle公式を参照していましたが、それ以外にはオライリーの「Java Generics and Collections: Speed Up the Java Development Process」や「Java Network Programming: Developing Networked Applications」などもよいのではないでしょうか。全部は読む時間がなくても(私は一部しか読めていない…)自分がテキストの理解を補強したいところを読んでおくと良さそうです。

 

 

あとはアルゴリズムの本は一冊持っておくと心強いかなと思います。いくつかあるので、気になったものをどれか選ぶと良いのではないかと思います。私は下記を参照していました。

 

CS 2203 Databases 1

2021-2022 Term3(Jan. 2022-Mar. 2022)に受講しました。

難易度

このコースに関しては私は始める前にシラバスを見た限りでは、「多分なんとかなるだろう」と思っていました(見通しが甘いという自覚はあります)。というのも私はこれまでアプリケーション開発をしてきた中で、DB設計やSQLには長く触れてきたからです。

実際、普段のPA、DF、LJは基礎的な知識を問うものが多く、これまでデータベースに馴染みのなかった方でも、SQLや正規化などきちんと学んでおけば難しいということはないのではないかと思います。

しかし、インストラクターがこれまでのコースで一番厳しかったので、インストラクターが求めているであろう答案づくりに時間を取られた気がします。またDFでの他者への返信やPAのピアレビューの内容も全て厳しく採点対象として見られていて、各項目少しでも量が足りなければ減点されるので、他のコースよりもそこに費やす時間が多かったと思います。

また、テストの内容は難しく、特にFinalではこれまでに見たことがない問題が何問も出されていました。普段の課題やSelf Quizでは問われていなかったような知識が多く問われてしまって惨敗し、これまでで最も悪い成績になりました。データベース大好きだと思っていたのですが、ちょっと苦手になってしまったかもしれない…。驕らずもっと勉強していかねばならないと思いました。

Finalで満点を取る対策としてはやはり結局メインテキストの内容を隅から隅まで頭に入れること、となると思います。どれだけ外部の本で知識を補強しても、結局最後に問われるのはメインテキストの内容なので(これまで受けてきたどのコースもほとんどそうでしたが)、メインテキストの細かい内容をきっちり復習することが最も重要ではないかと思います。

インストラクター

CS 2203の講師はCS 1103の講師よりも輪をかけて厳しかったです。少しでもインストラクションの内容が足りなかったり引用を間違えたら減点でした。フォーラムでも私は他者へのコメントも「Great job」とかだけじゃなく引用も入れて100words書いているのに減点がありました(フォーラム終了時には10点なのに、フォーラムの終了後に9点に下げられていて「あれ、これインストラクターに下げられたかな…」と…)。

特にAcademic writing styleにかなり厳しかったです。以下は全て他のコースでは許されてきましたがCS2203のインストラクターは減点対象としてきました:

  • APA 7th(UoPeopleでよく使われている6thではなく)に沿っていなければ減点
  • 図やExample codeについてもきちんとAPAスタイルに則っていなければ減点
  • 一段落は3センテンス以上存在しなければならず、守れないと減点
    • 正直これはCS以外のコースのWriting課題では守れていても、CSのコースでExample Codeとそのための説明の段落を交互に記述していると、うっかり一段落のセンテンス数が1または2センテンスになってしまったことがよくありました。しかしこのコースではそれが守られていない段落が1つあるだけで減点対象でした。
  • LJはIntroduction-Body-Conclusionスタイルに則っていないと減点
  • LJはタイトル、文字カウントを入れていないと減点
  • 単語数の最大数オーバーも減点
    • 最小数未満はどのコースでも怒られているなか、最大数オーバーに関しては他のコースではゆるかったけど、このコースではアウトだった
  • どんなに外部リソースの引用を行っていても、その週のReading対象になっているテキストブックをすべて引用していないと減点
    • たとえばReading対象のテキストが3つあったらその週は3つとも引用しなければならない
  • PAのピアレビューも全項目長めにコメントしないとピアレビューの得点が減点
  • DFで他者の投稿に短めのリプライ(「Great」などのみ)を書くともちろん減点
    • できていない人は、CS 1103の講師と同じように「君ちゃんとUNIV 1001受けたの?」って煽られていました…。

納得の行くルールもありますが、中には暗黙の了解とばかりに後から知らされたルールもありました。

正直このコースは身内の不幸があって課題が間に合わなくなった時にもう絶対Withdrawしようと思ったんです。しかしこちらもその時にダメ元でインストラクターに締め切り延長を依頼したら延ばしていただけて…。それで、普段は厳しいけどやっぱりそれは生徒のためを思って言っていて、困った時には助けてくれる良い先生かもしれない、と思って、コースをWithdrawせずに続けました。

実際、この時同時に受けていたMATH 1280のインストラクターが、「毎回10点くれるけどフィードバックゼロ(Great jobすらもなし)」というインストラクターで、「CS 2203の毎回8-9点だけどフィードバックガッツリくれる先生とどっちがいいだろう…」っていう気持ちでした。そう考えるとフィードバックをくれるというのはありがたいことではあるよなと…。そこで腹をくくって、ちゃんとたくさん質問をしてルールを厳密に守るようにしたらLJ10点をもらえたので、ある意味で鍛えられたと言えるかもしれない(ちなみによくよく講師のプロフィールページを見たら、自分のプロフィールにも外部文献をAPAでcitationしている先生でした。徹底してますね)。

ただ、最終試験結果がいまいちだったので、Withdrawしないという判断が最終的によかったかどうかは正直わかりません。「締め切りを延ばしてくれたからWithdrawをやめた」という判断は、冷静さを欠き情に流されすぎてしまっていたような…。やはりGPAをどれだけ高く保てるかはシビアに見ていかなければならなかったと思います。

参考資料

インストラクターに、「Computer ScienceのコースでAcademic writing styleを守るのは他のコースよりも難しいです。他のコースではAcademic writing styleの細かいルールは気にしないインストラクターもいます。なぜCSのコースでそこまでして遵守しなければならないのですか?」と聞いたら、下記の参考文献「Writing for Computer Science」を送ってくれました。この資料はおそらくCSのどのコースでも役に立つと思います。

 

SQL、正規化、トランザクションなどの一般的な知識に関しては、データベースに関する良書が日本語でもあるのでそれらが助けになると思います。以前から愛読していたミックさんの本と奥野さんの本はコース中何度もお世話になりました。

 

 

 

また「Joe Celko's SQL for Smarties : Advanced SQL Programming」(邦題「プログラマのためのSQL」の原著)が、UoPeople学生が利用できるオンライン図書館ProQuest Ebook Centralで借りることができます。分厚いですが、気になるところや必要なところだけ読んでみるのも良いと思います。

Joe Celko's SQL for Smarties : Advanced SQL Programming

ただ先程も書いたとおり、Examはメインテキストから出題されます。外部資料はDFなど普段の課題ではもちろん参考になりますが、Final exam対策としてはメインテキストの内容の復習を怠らないことを優先したほうが良いと思います。

 

全体を通しての感想

これまで4つのCSのコースを受けてきましたが、内容に関しては共通して「これまでに知識のあるコースだと比較的すんなり受けられるが、そうではない場合はやはり一筋縄ではいかない」と言えると思います。シラバスを事前に確認することが出来るので(少し古いこともあるんですが)、自分が知らない知識が多く出てきそうだと思ったら予習しておくとよいと思います。また、これまでに馴染みのある科目だからといって驕ってしまうとすぐに足元をすくわれました。馴染みの分野でもテキストの内容に初見の知識が出てきたらそこをちゃんと押さえておくとよいのではないかと思います。

UoPeopleの一番やっかいなところではあるのですが、インストラクターによってルール遵守への厳しさが全く違うので、良い成績を目指す人は一番厳しいインストラクター基準(Academic writing styleガチガチ厳守)で課題を行っておくと良いかなと思います。

コース全体を通してざっくり言うとこのような感想になりますが、おそらく実際に受講している中では、細かい疑問点などが色々浮かんでくるのではないかと思います。そういったときはできるだけ人に相談すると良いと思います。まずはインストラクターに相談すると良いと思いますし、インストラクター以外に相談したい場合であれば、UoPeopleの公式Yammar、あるいは非公式のFacebook group、日本人Slack、あるいは各種Discordサーバーなどコミュニティはいろいろあります。また結構勇気がいりますがForumで「この人の投稿いいな〜」と気になったクラスメイトがいれば、勉強法について相談するなどしてみても良いと思います。

 

(おまけ)社会人経験のある人がUoPeople、あるいは大学でCSを学ぶ意味

これまで、コースについての悪い点も挙げてしまいましたが、これは後続の方々への情報共有の意味で書いているので、私自身はUoPeopleに悪い印象ばかりを持っているわけではありません。わたしはこれまでのところUoPeopleでCSを学べたことに感謝しています。そもそもこんなに安価で通える大学はなかなかないですから。なので、悪い印象で終わらないように、CSを大学で学ぶメリットについてもこの記事に一緒に書いておきたいと思います。

UoPeopleに入ってからずっと、「社会人経験のある人間が大学でCSを学ぶ意味とはなにか」ということをずっと考えています。プログラミングの需要は以前にも輪をかけて増していて、学習リソースの選択肢は数え切れないほど多くなっています。そのなかで大学に行く意味はなんなのかと。大学に行かなくても同じだけの知識は十分他の場所でも得られると思います。

もちろん一番大きなメリットは「学位を得られる」ですが、それ以外にも私が考える大学のメリットが2つあります。

ひとつは、大学という環境に置かれることで「やらなければいけない」状況に自分を追い込むことが出来ること。自律心が高い方ならいくらでも独学でテキストを読んだり手を動かしたり学習を進められると思いますが、わたしはこれまで何度「CSの基礎を学びたい、数学を学びたい」と思って挫折してきたことか…。読もうと思って入手した積ん読の書籍たちが家中のスペースを圧迫しています。あれだけ(数年レベルで)自分を律することができなかった自分がCSのコースを4つ(と、これまでに数学のコース2つ&その他4つの科目)できたのは大学に通っていたからにほかなりません。また、学習の進め方という面でも、もちろん効率よく独学が出来る人もいますが、独学の勘所をわかっていないと、効率の悪い学習をしてしまったり路頭に迷ってしまったり、あるいは誤った情報を入手してしまうこともあります。大学というフレームワークに則って勉強すれば一定の成果が得られる確率は高いと思います。

もうひとつは、自分以外に同じ目標を持った仲間を見つけやすいということ(これはそれぞれの大学の仕組みにもよるかもしれませんが)。私は、学習の成果は人と共有してこそ高めることができ、本当に自分のものとなると感じています。もちろん大学以外の学びの場でも同じ目的を持った仲間を見つけることはできます(とくにIT系だと勉強会がたくさんありますよね、私もこれまでにも様々な勉強会にとてもお世話になっています)。しかし、単発で参加するのは楽しくても、それぞれの人の学習したいと思うペースや内容が違うとなかなか継続して参加が難しかったり、同じ勉強会に参加した仲間に逐一(勉強内容に疑問を持つたびに)相談できるわけでもなかったり、長期的に同じ目的を持った仲間を見つけることが難しかったりしたこともありました(うまくやれている人ももちろんいますが、私はコミュ障だったりして自力ではあまりこのへんをうまくやれなかった)。大学に入れば同じ長期目標を持った仲間が必ずいて、相談しやすい環境だと思います。とくにUoPeopleの場合は世界中から生徒が参加しているので、自国内外の同じ勉強をしている仲間を見つけて知識や経験をシェアし交流するという目的においてはやはり大学が果たしている役割は大きいと感じます。

「(社会人経験のある人が)CSを大学で学ぶなんて無駄、独学やその他のサービスで学べば安く早く知識を手に入れられるのに」という意見を実際に私も耳にしたことがあります。「独学や他のサービスで学ぶ」ことを好む人がいるのはよいとおもいます。ある人にとってはそれが正解ですし、むしろそれが出来る人は尊敬します。でも、大学に通っている人間に向かって「無駄だね」と水を差す意見にはまったく同意できなかったです。もちろん今後のキャリアの心配をして言ってくれる人もいるのはわかっていますし、自分が他の人にまでUoPeopleに入った後のキャリアが絶対安泰だなんて言うつもりはないです。でも大学に通っている人間はそういうことも全部ひっくるめて大学に通う覚悟を決めたひともいるはずだし、それでも意義があると思って通いはじめたはずだし。わたしにとっては、誰に何を言われても今はこの選択が正しいと信じています。最後までできるかはわかりませんが、もし途中で挫折したとしても、いままでやったことは絶対に無駄ではないと感じています。

 

Term3では4コース同時受講をやってみてちょっと大変だなと追ったので、さすがにしばらく学習のペースは下げようと思っています。しかし改めて、このような学びの場を得られることに対しては改めて感謝しかないです。これからもマイペースながら学びを続けていきたいです。