大人の語学再学習のすすめ(アラサーが英語をやり直してみて感じたこと)

30代英語やりなおし勢の @nappan23 です。
1年半ぐらい前から英語の学習を10年以上ぶりに再開しました。
そして先日、学生時代からずっと目標にしていたTOEIC900点を超えることができました。


f:id:nappan23:20210211170456j:image

この歳になってから英語をやり直してみると、記憶力の低下などのディスアドバンテージを感じる反面、以前とは英語との向き合い方が変わって、学習がやりやすくなった面があることに気づきました。

これまで学習してきた内容についてもまとめたいと思っています(別記事を書きたいです。書く気力があったら)が、今日はまず、「大人になってから語学学習したことで私が感じた、学生時代には感じられなかった語学学習のアドバンテージ」についてまとめたいと思います。

私が30代で英語を再学習しているのでその経験に基づいた話になりますが、他の言語や他の年代の人にも言えるかもしれません。
どの年代でどのようなことを考えるかは人それぞれでしょう。
ですが、この記事が誰かにとって、語学とまた向き合うきっかけになれば幸いです。

①度胸がついて失敗を恐れる気持ちが減り、スピーキングへの苦手意識がなくなった

私は20代の頃、前半の頃までは顕著に、いわゆる「コミュ障」でした。
英語はおろか、母国語の日本語でも、初対面の人と話すときはとにかく言葉数が減っていました。
なにか言いたいのに言葉が出てこなくて、「あ…あ…」しか言えなくなってしまうことも頻繁にありました。

なんとか就職したものの(なんで就職できたのかわかりませんが)、就職して数年のうちは、周囲と違う意見は絶対に主張しないようにしていました。
批判されることをとにかく恐れていたからです。
とくに、上司や年上の人は、すべからく怖いとさえ思っていたこともありました。

しかし徐々に、以前の自分よりは自分の仕事に自信を持てるようになっていきました。
(なにもかも完全に持てたとは言えませんが、比較すると少しは自身がつきました)

そして少しずつ、失敗や批判を恐れずに自分の意見を主張できるようになってきました。

そんな折にたまたま英語の勉強を再開したところ、以前よりはっきり物事を断言できるようになり、そんな状況への怖さが少なくなったと感じる自分がいました。
(「あ…あ…」状態になるのが完全にゼロになったわけではないです、今も。でも以前よりは減りました。その成長が自分で認められてよかったと思っています)

私以外にも、歳を重ねたことでやっとコミュニケーションへの不安を克服できたという人がいるのではないかと想像しています。
学生時代は英語のスピーキングが苦手だったけど、あの頃よりはちょっとは度胸がついたかもしれないと思う人は、また向き合ってみるのもいいと思います。

②時事問題、政治などに本当に興味を持ち、外国人と様々な話ができるようになった

私は学生時代、時事・政治や社会の問題に全く興味がありませんでした。
それらの勉強はすべて、「学校でやらされるから、大人がやれというからやるもの」という認識でした。
「自分のことだけで精一杯なのに社会の問題なんて考える余裕がない」といった気持ちもありました。

私は学生の頃「英語だけは好き」という認識でしたが、よくよく考えたら、英語という語学において、文法・単語・発音だけが好きという変わった人間でした。

当時は英語圏の文化にもあまり興味がなく、日本人として外国人に主張したいことも特になかった私は、学校で行われるような英作文の課題や外国人との会話において、「正直そんなに伝えたいことないな」と感じていました。
30代になってやっと、社会問題は深く自分の生活に関わっていて、きちんと自分の意見を主張していかないと自分が不利益を被るかもしれないし、もっと真剣に向き合うべきだと心から痛感したのです。

それでやっと、人に流されるだけではない、自分が本当に感じた意見を主張できるようになりました。
そういった意見を持つようになると、今度は社会のいろいろなことについて「海外の人はこの問題についてどう思っているのだろう」と自然と気になってきて、自然とそのことについてコミュニケーションが取りたくなりました。そんな今がまさに、私にとって英語学習のベストなタイミングだと感じています。

(※外国人と政治などの込み入った話題について話すのは、かなり仲良くなってからが良いと思います。)

しっかりした人はおそらく10代・20代からそのことを実感できているのだと思いますが、私は30代になってやっとそういうことを考えられるような精神的成長を遂げることができたのでした。
社会人を何年か経験して初めて時事や政治に興味を持ったという人は私以外にも少なからずいるのではないかと想像しています。これを明らかにするのは正直恥ずかしかったですが、そういうちょっと恥ずかしい体験をオープンにすることも大事だろうと今は考えています。

③その言語の学習において、自分の必要な部分のみにフォーカスできるようになった

学生時代、英単語帳と向き合って、覚えるべき単語の多さに圧倒された人は少なくないのではないかと思います。
単語帳を何週かするも、覚えた端から記憶からどんどん零れ落ちていって四苦八苦した人もいるのではないでしょうか。いや絶対にいると信じています。

しかし大人の英語学習においては、学習の目標や人生設計がはっきりしている人が多いのではないかと思います。

例えば私であったら、「ITに関する記事をスラスラ読みたい」「プログラミングに関することを外国人と話し合いたい」などなど。
このように目的がはっきりしていれば、それに必要とされる単語のみ、つまり私の場合ならIT・Web・プログラミングの文脈でよく使われる単語だけを集中的に覚えたらそれで良いと思います。

市販の単語帳を開けば、たいてい様々な分野における頻出単語が並んでいます。IT以外にも経済・金融・環境問題・教育問題でよく使われるような単語など。
でも、「この単語、自分の専門外だし、この単語帳でインプットする以外に自分の人生で自ら発信することあんまりないな」と思ったら別に、記憶の定着の努力をサクッと捨ててしまったって良いんです(一般教養を問われる英語の試験を受けない限り)。

自分が本当に必要としている単語だけを集中的に効率よく覚える、それだけでも、まさにその自分が必要としている場面での英語力の向上を感じることでしょう。

(じゃあ単語帳なんて不要で、新しい単語に出会ったらその都度覚えていけば良いんじゃないかと思う人もいると思います。それはそれで良いと思います。私はそれでもやはり、「今よりスラスラ読める」「今よりスラスラ聴ける」の感覚がほしいので単語帳をやっています。)

「自分の必要な部分にフォーカスする」というのは単語学習の話にとどまりません。

例えば語学習得の要素はリスニング・スピーキング・リーディング・ライティングと4技能が必要とされていますが、その中で自分が本当に必要なことだけに絞っても良いのです。
学習のどのような側面においても、とにかく自分の必要なことだけにフォーカスするということ。それは、大人になって、物事の取捨選択ができるようになって、自分の進みたい道や進んでいる道がある程度はっきりしてきて、初めてできるようになることでもあると思います。

———

以上が、私が考える「大人に外国語学習をおすすめする理由」です。

ここまで説明してきましたが、正直、語学学習などというのは「必要がないならやらなくても全く問題ない」と思います。
今は英語学習がもてはやされている時代ではありますが、本当の意味でそれを必要としている人はどれぐらいいるのでしょうか。ある程度の基礎的な英語力は持っていたほうがなにかと便利かと思いますが、応用的な部分をどの程度勉強するかはその人が人生に何を求めているかによるでしょう。

正直、もし今あなたが特定の言語で書かれた文章をただ読みたいだけ、インプットしたいだけであり、その国の人とコミュニケーションを取ったりするモチベーションがないのなら、やる気がそれほどないのにその言語を勉強するよりは、その勉強は捨てて、自動翻訳機能を利用していても良いと思います。人生の時間は有限ですから、それも一つのやりかたでしょう。

正直なところ、私もオンラインで英語記事などを見ていて、どうしてもうまく訳せないなと思ったらそこをDeepLに掛けて訳文を参考にしたりします(まさかTOEIC900点取れてもまだDeepLを使っているとは取得前は想像だにしませんでしたが、TOEIC900の英語力というのは取得前に想像していたそれよりだいぶ乖離があるものでした…)

私の今の目的は、「翻訳家になることではない」からです。「何年も英語を勉強しても訳文がわからないから翻訳ツールに頼ること」は別に恥だと思ってません。

しかし私は30代になって本当に外国人と交流したいと思ったし、改めて英語を学習してみて、「昔はできなかったことができるようになってる、楽しい」と思っています。
それは、本当の意味で自分が英語を必要とするようになったからです。

みなさんにとっても、学習のための学習ではなく、本当に自分がその言語の習得を必要とした時、それがまさに学習するベストなタイミングであると思います。

そしてそれは、たとえ何歳であったとしても関係ないと、私は断言します。

余談ですが、語彙力のピークは67歳で迎えるという研究結果があるそうです:

集中力は43歳! 人間の脳のピーク年齢は、能力ごとに違っていた | Business Insider Japan

この記事の話は、記憶力の低下に焦っていた私の、やりなおし英語学習のモチベーションを本当に支えてくれました。

みなさんが言語学習と楽しく向き合えますように!